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このような症状はありませんか?
- 排尿時に痛い、かゆみ
- 排尿時の違和感
- 手のひら、足の裏の赤い発疹
- 陰部にできもの
梅毒
梅毒トレポネーマという細菌による感染症で、異性間、同性間を問わず性行為によって感染する病気で、感染症法により5類感染症に分類されています。性行為の方法によっては性器だけでなく、口腔(口のなか)、唇、のど、肛門、直腸にも感染することがあります。
日本では1948年から梅毒の発生数の報告がありますが、1967年に年間約11,000人が報告されて以降、抗菌薬の普及で大幅に発生数は減少していました。ところが2011年頃から報告数は再び増加傾向 となりました。2011年には約820件の発生報告でしたが、2023年には約15,000件の報告数に上っています。
従来は男性どうしでの性交渉による感染が多かったですが、現在は異性間の性交渉による感染が増えています。全体としてはまだ男性感染者の方が多いですが、近年は若年女性感染者の増加が目立っています。 若年女性の梅毒感染が増えることで、妊娠により胎盤を介して母子感染を生じることもありますので、注意が必要です。
感染契機からの時間経過により症状は異なりますが、性器のしこりやリンパ節の腫れ、また全身の発疹、そして発熱を繰り返す場合があります。
症状から梅毒の感染が疑われる場合には、血液検査を踏まえて診断に至ります。
治療
飲み薬(抗菌薬)を用いて治療を行います。基本的には4週間の内服治療を継続し、その後再度血液検査を行い、治療効果を判定します。近年は注射による治療薬も登場していますが、治療効果判定のコンプライアンスを考慮して、当院では飲み薬での治療を推奨しております。飲み薬のアレルギーがある場合には、必ず受診時にお伝えください。
また感染者を拡大させないために、自身以外の可能性ある感染者にも治療を受けていただくように、必ずセックスパートナーへの受診を促すようにお願いいたします。

クラミジア感染症
クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)という5類感染症に分類される性感染症です。男性においては尿道炎症状をもたらす主な原因病原体であり、性器のかゆみ、排尿時違和感、排尿時疼痛を主な自覚症状とします。潜伏期間はおよそ2~3週間です。女性では男性と異なり、自覚症状の乏しい場合が多いですが、症状がある場合は、おりものの異常や、下腹部痛、性交時痛、不正出血、排尿時痛が現れることがあります。感染時からの時間経過では、子宮頸管炎、骨盤内付属器炎(PID:Pelvic Inflammatory Disease)、慢性骨盤痛をもたらすこともあり、治療開始が遅れることで、子宮外妊娠や不妊に至るケースもあります。そのためパートナーの感染が発覚した際には、自覚症状がなくても受診のうえ、検査を受けることをお勧めします。クラミジア感染症は淋菌感染症との重複感染の例がありますので注意が必要です。
治療
尿検査、細菌培養検査や膣分泌物検査にて診断に至った際には、飲み薬(抗菌薬)を用いて治療を行います。飲み薬の一定期間内服後に、再度受診、検査のうえ、菌が検出されないことをしっかり確認して、治療終了となります。
淋菌感染症
淋菌(Neisseria gonorrheae)による、5類感染症に分類される性感染症です。男性においては尿道炎症状をもたらす主な原因病原体であり、膿性の分泌物とともに排尿時に疼痛を有することを主な自覚症状としますが、クラミジア感染症と異なり無症状で経過する例もありますので、注意が必要です。女性ではクラミジア感染症と同様に男性より自覚症状なく時間経過する例が多くあるため、骨盤内付属器炎(PID:Pelvic Inflammatory Disease)、慢性骨盤痛、子宮外妊娠や不妊の際に発覚する例も少なくありません。
治療
尿検査、細菌培養検査や膣分泌物検査にて診断に至った際には、治療の適応となりますが、筋肉注射や、点滴での治療が必要となるため、対応可能な病院へのご紹介をさせていただきます。
尖圭コンジローマ
ヒトパピローマウイルスによる、異性間、同性間を問わず、オーラルセックスを含む、大部分は性行為によって感染するイボ状のできものです。男性、女性ともに、外陰部や肛門周囲に発生することが多く、鶏冠状(トサカ状)やカリフラワー様と表現されることが多い見た目をしています。サイズは米粒大から大豆のほどの大きさにまで大きくなるものもあります。
尖圭コンジローマは感染から発症までの潜伏期間が長く、発症は平均すると感染の2~3ヵ月後であり、忘れたころにイボ様のものが出てきます。最終性行為から1年以上経過した後に発症した例もあり、感染に心当たりがない方もいらっしゃいます。また、性行為がない場合でも、ウイルスが付着した手や物が傷口や粘膜へ触れることで感染するケースもあります。
尖圭コンジローマの多くに関連するヒトパピローマウイルスは低リスク型が大半ですが、感染したヒトパピローマウイルスが高リスク型の場合には、男性では陰茎がん、女性では子宮頸がんへの進行につながる場合があるため、適切な治療が必要になります。
治療
尖圭コンジローマの治療方法は、「外用療法(塗り薬)」と「外科療法」の2種類があります。
塗り薬(イミキモドクリーム)はイボやイボ周囲に直接塗布し、免疫細胞を活性化させてウイルスの増殖を抑えます。塗り薬のみでの治療の場合、治療期間が2~3カ月継続するケースも多くあります。
外科療法には冷凍凝固法、レーザー照射、電気メスによる切除があり、当院では液体窒素による冷凍凝固法を採用しております。1~2週間に1回の頻度で通院していただき、治療を継続していく必要があります。
イボなどの症状自体は塗り薬や外科療法で軽快していきますが、ウイルスが体内に潜んでいる場合に、一度治ったかのように見えても、治療中に別部位に新しく発生したり、免疫力が低下した際などに再発を繰り返す可能性があります。
性行為での接触によりパートナーへ「ピンポン感染」する場合がありますので、感染者を拡大させないために、自身以外の可能性ある感染者にも治療を受けていただくように、必ずセックスパートナーへの受診を促すようにお願いいたします。

マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症
尿道炎の原因菌としての淋菌やクラミジアと同様に性交渉を介して感染する、マイコプラズマ(Mycoplasma hominis,Mycoplasma genitalium)・ウレアプラズマ(Ureaplasma parvum,Ureaplasma urealyticum)による感染症です。男性は、クラミジア感染症と類似した症状で、性器のかゆみ、排尿時違和感を主な自覚症状とします。女性は自覚症状が乏しい場合がありますが、おりものが増加したり、性器の異臭を主な症状とします。またキスやオーラルセックスを介して感染することもあり、その場合には、咳や喉の違和感をもたらすことがあります。治療
尿検査、細菌培養検査や膣分泌物検査にて診断に至った際には、飲み薬(抗菌薬)を用いて治療を行います。飲み薬の一定期間内服後に、再度受診、検査のうえ、菌が検出されないことをしっかり確認して、治療終了となります。